最近私が感動して止まない生産性の高いビジネスモデルを構築している回転寿司チェーン店があります。それは元気寿司グループの「魚べい」です。
魚べいのビジネスモデル「回らない回転寿司」
魚べいのビジネスモデルは従来の回転寿司業界へ一石を投じる画期的なものになっており、それは「回らない回転寿司」という手法によります。
「回らない回転寿司??意味わからん!」と一見思われますが、下の画像をご覧ください。
従来のベルトコンベアの回転レーンを廃止し、特急レーンのみで商品提供を行っております。注文は電子パネルでの完全オーダー性を採用しています。
他店ではベルトコンベアの回転レーンと特急レーンの両方を採用しているところもありますが、魚べいではテーブル席では3レーン、カウンター席では2レーンのみで商品の提供をします。(一部商品は手渡し提供のものもあります)
「回らない回転寿司」のうたい文句は従来の回転寿司チェーンの概念を崩したことを前面に押し出すためのキャッチコピーということですね。
完全オーダー性で本当に生産性UP??
お寿司を回さないスタイルでは本当に生産性が高いのか疑問点が出てくると思いますが、それぞれのポイントごとに説明をしたいと思います。
回っている寿司は取られている?
下記のニュースは回っている寿司を取るかどうかの調査結果が示されているのですが、来店者の約70%が「注文中心派」という結果がでているそうです。
2019年3月、Jタウンネットで行われた調査、「回転寿司、レーンの寿司を取る? 取らない?」の結果が発表
引用: 回転寿司、5人に1人が「レーンの寿司は絶対に食べない」Jタウンネット
つまり、回っている寿司は来店者の少数派に対して提供されている商品だということがわかります。また、元気寿司株式会社 法師人尚史(ほうしと・たかし)社長は「ITmedia ビジネスオンライン」インタビューで以下の内容を語っております。
・売上の約85%が注文品
・従来方式の時代では1店舗で一か月に4000皿、年間で3tもの廃棄が発生
(2015年度実績でロス費用約1億円)
お寿司を回すことこそが寿司を廃棄する原因であり、生産性を下げる原因だったということになります。浮いたロス費用で設備投資や人材育成、品質の向上など、さらによりサービスの提供に努めることも可能ですね。
会計作業の短縮により業務集中化の実現
完全オーダー性のため、いちいち従業員が皿の数を数える作業が必要ありません。来店者は電子パネル上で会計ボタンを押し、座席票を持ってレジへと進むだけとなります。
この部分に置いて、従来方式では発生する
【呼ばれて座席へ → 皿の数等を数えて記入 → 伝票を渡す】
という従業員の一連業務が短縮されます。
時間にして1、2分だとは思いますが、「座席数:120席、2回転/日、3人/組」で想定すると
120(席) × 2(回転) ÷ 3(人/組) = 80会計
→ 80~160分
( 座席数の想定は平成27年3月機第2四半期 決算説明書の事業内容より )
1、2時間もあれば、別の業務を行うことができ、より良いサービスの提供、品質の向上に努められます。
何より会計作業は来店者のタイミング次第なので、従業員の作業タイミングは関係ありません。特に会計が多いときは込み合っている時が多く、業務が立て込んでいる状況が想定できます。1つ1つの業務に集中できる時間が増えることで生産性の向上を実現していることがわかります。
「回さない」ことで発生する他のメリット
お寿司を回さないことで副次的に発生するメリットもあります。
別客に商品を取られない
先日某回転寿司チェーンに夜の10時頃に伺ったのですが、そのチェーン店では電子パネルでオーダーした商品もベルトコンベアに乗って運ばれるシステムとなっています。そこで発生した出来事なのですが、、、、オーダーした商品が誰かに取られたんです!!!
いや本当に勘弁してもらいたいでよね。ただでさえ遅いベルトコンベアで運ばれてくるのに空の状態でしたので、、、
魚べいは完全オーダー性なので、別客に商品を取られることはシステム上ありえません。
別客の商品と並んで運ばれないので妙な緊張感がなくて済む
別客の商品と並んでベルトコンベアで運ばれてくるときに、イチイチ自分発注分がどれのか緊張感が絶えません!気にしいの私には本当にイライラします!お皿の色で判断されているようですが本当に分かりにくい!そもそもこれが別客が商品を間違えて取ってしまう原因の一つです。ベルトコンベアは止まりませんからね。
他店の話ばかりで申し訳ございませんが、このチェーン店のさらに問題なのは、「客側」のミスなのか、「店側」のミスなのかも把握できない状態で「客に不利益」が生じているところです。私が「店側」の立場の人間であれば、こんな「お客様」に投げやりなシステムは絶対に取りません。たまたまかもしれませんが、2回行って2回ともオーダーミスやら商品が届かないことありましたからね。私は信用してません。サービスを提供する店として美味しい以前の問題だと個人的には思っています。
魚べいのシステムでは上記の問題がシステム上発生しません。自分が発注した分は特急レーンに乗って自分たちの前に運ばれるからです。(こんなに褒めると魚べいの経営者サイドの人間かと思われる!?)
総論
回転寿司を「回さない」という発想は、お寿司を回すことによって発生していた無駄やデメリットを改めて見つめなおし、数字として捉えることで出てきたものだったということですね。
モノが飽和し、ビジネスモデルも確立してきている現代の中の「あたりまえ」の固定観念を壊す勇気と実行する勇気を持ち合わせた「魚べい」は非常に生産性の高い企業ということが覗えます。
私もいつか企業して「あたりまえ」を壊す、人々に喜ばれる事業展開をしていきたいと強く思いました!
では本日はこんなところで!